専業主婦（主夫）でも債務整理は可能？ 使える手続や家族への影響など

専業主婦（主夫）の方でも、借金問題を抱えているのなら債務整理をご検討ください。

「仕事をしていないから債務整理できない」と諦める必要はありません。債務整理にもいくつか種類がありますし、それぞれで満たすべき条件も違います。

どの手続だと難しいのか、どの手続なら利用できるのか、注意点も併せてここで解説します。

無職でも債務整理は不可能ではない

まず押さえておきたい点は「就職していることが債務整理の条件ではない」ということです。

専業主婦（主夫）であり仕事をしていないからといって常に債務整理が不可能になることはありません。

また、専業主婦（主夫）であることを理由に特別に条件が付けられることもありません。

債務整理を行うためのポイント

専業主婦（主夫）が債務整理を行う場合は、以下が重要なポイントになってくるでしょう。

• 返済原資の確保
  （任意整理や個人再生など、自己破産以外の方法による場合は、返済計画に基づいてその後借金の返済をしていかないといけない。専業主婦（主夫）で収入を得ていない場合は、これまでの貯蓄を切り崩していくか、これからパートを始めるなどして返済原資を確保する必要がある。）
• 家族の協力
  （自らの力で返済するのが難しい場合、配偶者等の収入から返済を行うことになるため、配偶者やその他の家族に相談して協力を得ることが重要。）

また、できるだけ債務整理の成功率を上げるには専門家の活用も重要といえます。

弁護士に相談して、「専業主婦（主夫）だけど、債務整理をするにはどうすればいいか。」とアドバイスを求めてみましょう。

任意整理や個人再生には返済の見込みが必要

債務整理にも種類があります。よほど困窮した状況になければ、通常、最初に検討するのは「任意整理」や「個人再生」です。

どちらの手続においても、残債務については返済を続けないといけません。

そこで残った「債務についての返済が可能であること」が示せないといけません。

特に個人再生の場合は法律で手続方法や条件などが厳しく規定されています。

「将来的に継続的・反復的に収入を得る見込みがある」と評価されないと手続の利用ができないため、専業主婦（主夫）の方にはハードルが高いのです。

ただ、これから就職して安定した収入を得ることができるのなら、この条件をクリアできる可能性も残っています。

自己破産をするのに返済能力は不要

上記2種類の債務整理は「再建型」と呼ばれるもので、一部債務を免責したうえで基本的には現状の生活を維持しつつ、立て直しを図るのが主目的です。

これに対して自己破産は「清算型」と呼ばれる債務整理で、免責許可により全債務を免責することも可能である一方、債務者の財産を清算しないといけません。そのためいったん財産関係がリセットされる形となります。

自己破産の選択は非常に大きな決断となりますが、自力での再建が難しいときはこの最終手段も視野に入れる必要があるでしょう。

ただ、自己破産に関しては収入の有無など、返済能力については問われないため、専業主婦（主夫）でも手続を進められます。

専業主婦（主夫）が債務整理するときの注意点

専業主婦（主夫）が債務整理をする場合、「家族への影響」と「手続費用」に注意してください。

例えば自己破産を行う場合、その影響で家族の生活が変わってしまうおそれもあります。「家族だから」という理由だけで家族の財産が換価されてしまうことはありませんが、夫婦共有の財産が処分されることもあり、自宅を失う可能性もあります。

また、特に債務額が大きい場合だと債務整理にかかる費用も大きくなってきます。

その費用が確保できるうちに判断し、債務整理に着手することが大事です。