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離婚協議書を公正証書(離婚公正証書)にするメリットについて

公正証書とは、公務員である公証人が私人から嘱託を受けて作成する公文書のことです。

売買契約書や遺言書、そして離婚協議書を公正証書として作成することもあり、手間や費用がかかる反面、いくつかのメリットを得ることができます。

 

当記事では主にこのメリットについて紹介します。

 

 

離婚公正証書には何が記載されるのか

 

公正証書を作成するとき、法定の記載事項である当事者の氏名・住所などのほか、当事者間で合意したさまざまな事項が書面に記されます。

 

離婚協議書を公正証書化する場合には、必要に応じて次の事項を記載します(すべてを記載する必要はない)。なお、離婚時に作成する公正証書は離婚のことだけでなく財産給付に関しても記載することが多く、この場合「離婚給付等契約公正証書」と呼ばれたりもします。

 

離婚公正証書への記載事項

離婚の合意

双方が離婚に合意した旨を簡潔に記載。

親権者の定め

未成年の子どもがいるときは離婚届に親権の定めを記載する必要があるため、親権者についても記載する。

なお、親権者と監護権者を分離することも可能。別途定めを置かないときは親権者が当然に監護権者となる。

養育費の定め

子どもを引き取って養育する親に対し、他方の親が養育のための費用として支払うものが「養育費」。

揉めることも多いため、支払開始時期や支払終了時期、毎月の支払金額や支払日、支払方法など詳細に記載する。

面会交流の定め

子どもの利益のため、非監護親との面会交流を実施するかどうか、実施する場合はその方法や頻度などを記載する。

離婚慰謝料の定め

一方に不法行為が認められ、身心に対する損害が発生しているときは、その賠償を求めるために慰謝料を請求する。

その有無や支払方法などを記載する。

財産分与の定め

夫婦間で築いた財産を分け合うときに記載する。財産分与の有無、支払方法、何をどのように分けるのか、支払期日などの詳細を定める。

清算条項

後々紛争の蒸し返しが起こらないよう、「公正証書に記載した項目以外、相互に権利や義務が一切ない」旨を記載する。

強制執行認諾条項

「義務を履行しないときは強制執行を受け入れる」旨を記載する条項。

財産の給付などを定めるときは、一方が支払義務を果たさないときに備えて強制執行認諾条項を置く。

 

なお、夫婦間で離婚協議書を作成したときも公証役場で離婚公正証書を作成したときも、離婚を成立させるには「離婚届」の提出をしないといけません。夫婦間の約束だけだと効力は生じないため注意しましょう。

 

 

離婚公正証書のメリット

 

離婚協議書を公正証書化するメリットは 4点から説明できます。

 

  1. 文書の証明力が高い
  2. 強制執行がすぐにできる
  3. 原本が公証役場に保管される
  4. 約束通りの支払いが期待できる

 

それぞれの詳細を以下で説明します。

 

 

文書の証明力が高い

 

離婚に伴う約束を文書にまとめておけば、後で「そんな約束はしていない」と主張されても、「ここに証拠がある」と反論することができます。

 

そのため多くの場合は夫婦間で作成する離婚協議書でもトラブルは予防できるのですが、相手方が「その文書は偽装されたものだ」などと言ってくるリスクもゼロではありません。

 

しかし公正証書であれば、法律上

“文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。”

と定められており、離婚公正証書が存在していることでそこに記載されている当事者の意思に基づいて作成されていることが推定されます。
そこで相手方の方で作成に関与していないことを立証しなければならず、文書が無効になってしまうリスクをより下げることができます。

出典: e-Gov法令検索 民事訴訟法

 

 

強制執行がすぐにできる

 

公正証書に強制執行認諾条項が置かれていることを条件としますが、このときは相手方が金銭の支払いに応じないとき、素早く強制執行を行うことができます。

 

例えば養育費支払い義務があるにもかかわらずこれに応じないとき、相手方の所有する不動産や預金、給与などを差し押さえてそこから強制的に債権の回収をすることが可能になるのです。

 

 

原本が公証役場に保管される

 

当事者間で文書を作成するとき、「文書が改ざんされてしまう」「離婚協議書を隠された・紛失した」といったリスクにもさらされます。

 

せっかく作成した文書もなくしてしまうと意味がなくなってしまいます。

しかし公正証書は離婚に関するものに限らず、原本が公証役場で保管されます。そのため紛失のリスクがありませんし、改ざんのリスクもありません。

 

自分自身で保管について考える必要がなく、安心して文書の作成に取り掛かれます。

 

 

約束通りの支払いが期待できる

 

離婚公正証書を作成しておけば強制執行もやりやすくなりますし、公証人という法律のプロが関与することから、文書の作成にも緊張感が生まれます。

 

夫婦のみで話し合って文書を作成する場合に比べて、離婚について真剣に向き合うことができ、債務を負う側には心理的なプレッシャーも生じるでしょう。

 

そのため公正証書に記載した約束事を守ってもらえるとの期待感も高まります。

 

 

離婚公正証書のデメリット

 

離婚公正証書を作成するデメリットは「作成手続に負担がかかること」です。

 

公証役場での手続が必要で、公証人に対して手数料も支払わないといけません。

金銭の支払いについて記載するときは、その価額に応じて手数料も増えてしまいます。

 

ただ、デメリット以上に公正証書とすることで得られる恩恵は大きいですし、離婚公正証書の作成は前向きに検討してみましょう。

 

 

公正証書の作成前にも離婚協議書を作成しよう

 

夫婦間で作成する離婚協議書と、公証人に作成してもらう離婚公正証書の 2つを備える必要はありません。

 

しかし公正証書を作成するまでに意見を覆されると困りますので、夫婦間で決めたことについて離婚協議書へ記しておきましょう。そして「甲と乙は、本書作成後遅滞なく、本協議書に記載した強制執行認諾条項付公正証書を作成する。」などと公正証書を作成することに対しての約束も明記しておきます。

 

離婚協議書の作成について不安があるときや、各種条件の定め方に不安があるというときは、弁護士にサポートを依頼すると良いです。

法的な制度や作成手続のことなど離婚にかかわるさまざまな問題を効果的・効率的に解決していくことができます。

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内藤 政信Naito Masanobu

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  • 早稲田大学法学部卒業
  • 1983年4月 弁護士登録
  • 東京都出身
  • 目に見える形で、直接困っている人の役に立てる職業であるというところに魅力を感じ、弁護士になりました。
  • 趣味はアコーディオンです。希望があれば相談時にも弾きますので、興味がある方はお申し出下さい。
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